「ゲイと結婚したい」と考える背景には、恋愛に依存しない「友情結婚」という新しい価値観の広がりがあります。
本記事では、ゲイ男性と結婚したい女性が知るべきメリットや注意点、具体的な出会い方までを網羅的に解説します。
後悔しない最良のパートナーシップを築く秘訣は、結婚前に価値観をすり合わせ、明確なルールを決めておくことです。
あなたの疑問や不安を解消し、理想の結婚へ踏み出すための全知識をお伝えします。
目次
なぜ「ゲイと結婚したい」と考える女性が増えているのか
「ゲイの男性と結婚したい」。
一昔前までは考えられなかったかもしれませんが、近年、このような選択肢を真剣に検討する女性が増えています。
これは決して突飛な考えではなく、現代社会における結婚観や家族観の多様化を象徴する現象の一つと言えるでしょう。
恋愛感情や性的な関係性を前提としない、新しいパートナーシップの形が模索される中で、ゲイ男性との結婚は一つの合理的な選択肢として注目を集めているのです。
では、なぜ多くの女性がゲイ男性との結婚に惹かれるのでしょうか。
その背景には、新しい結婚の形である「友情結婚」の広まりと、女性たちが抱える複雑な心理が深く関わっています。
この章では、その理由を詳しく掘り下げていきます。
恋愛によらない新しい結婚の形「友情結婚」
ゲイ男性との結婚を理解する上で欠かせないのが、「友情結婚」という概念です。
友情結婚とは、恋愛感情や性的な関係を持たず、友情や信頼関係を基盤として共に生活を築いていく結婚のスタイルを指します。
お互いの価値観やライフスタイルを尊重し、協力し合う「共同生活者」としてのパートナーシップであり、従来の恋愛結婚とは一線を画します。
この友情結婚が選択肢として広まってきた背景には、社会の変化が大きく影響しています。
女性の社会進出が進み、経済的に自立する女性が増えたことで、結婚に必ずしも経済的な安定を求める必要がなくなりました。
また、個人の生き方が尊重される時代になり、「結婚=恋愛」という画一的な価値観から解放され、自分らしいパートナーシップを求める人が増えています。
友情結婚は、恋愛の駆け引きや感情的な消耗、嫉妬といったストレスから解放され、穏やかで安定した関係を築けるというメリットがあります。
お互いが自立した個人として尊重し合い、人生の目標や夢を応援し合える。そんな合理性と温かさを両立した関係性が、現代を生きる多くの人々にとって魅力的に映っているのです。
特に、セクシュアルマイノリティであるゲイ男性と、異性愛者(ヘテロセクシュアル)の女性、あるいは恋愛感情を他者に抱かないアロマンティックやアセクシュアルの女性など、様々なセクシャリティを持つ人々にとって、友情結婚は法的な保障や社会的信用を得ながら、自分らしく生きるための現実的な手段となり得ます。
ゲイと結婚したいと考える女性の心理的な背景
社会的な変化だけでなく、女性個人の心理的な背景も、ゲイ男性との結婚を望む大きな要因となっています。
その理由は一つではなく、人それぞれ多様な想いを抱えています。
ここでは、代表的な心理的背景をいくつかご紹介します。
恋愛や性的な関係への苦手意識・トラウマ
「恋愛は疲れる」「性的な関係が苦痛」。このように感じる女性は少なくありません。
過去の恋愛で深く傷ついた経験や、異性から性的な対象として見られることへの嫌悪感、あるいは生まれつき他者に恋愛感情や性的欲求を抱かない「アロマンティック」や「アセクシュアル」といったセクシャリティを持つ女性にとって、恋愛を前提とした結婚は非常に高いハードルとなります。
ゲイ男性は、女性に対して恋愛感情や性的な関心を抱かないため、女性側は性的なプレッシャーを感じることなく、安心して関係を築くことができます。
異性でありながら、まるで同性の親友のように何でも話せる。その安心感が、何にも代えがたい魅力となっているのです。
自立した個人同士の合理的なパートナーシップへの希求
仕事やキャリア、趣味や自己実現など、自分の人生で大切にしたいものが明確な女性にとって、恋愛は時に足かせになることがあります。
パートナーに時間や感情を過度に割くことなく、自分のペースで人生を歩みたいと考える女性にとって、ゲイ男性との友情結婚は非常に合理的な選択です。
お互いに干渉しすぎず、それぞれのプライベートな時間や人間関係を尊重できるため、自立した個人としての生き方を維持しながら、「家族」という安定した基盤を手に入れることができます。
良き相談相手、信頼できる同居人として、お互いの人生をサポートし合う。そんなドライでありながらも温かい関係性を求めているのです。
「家族」や「子供」という形への想い
恋愛や結婚に興味はなくても、「子供を育ててみたい」「温かい家庭を築きたい」という願いを持つ女性もいます。
しかし、一人で子供を産み育てることには、経済的・精神的に大きな負担が伴います。
一方で、ゲイ男性の中にも「自分の子供が欲しい」「親を安心させたい」といった理由で、女性との結婚や子育てを望む人がいます。
このような両者のニーズが合致した場合、ゲイ男性との結婚は「子育ての共同経営者」として理想的なパートナーシップとなり得ます。
恋愛関係がないからこそ、子育ての方針や教育について冷静に話し合い、協力体制を築きやすいという側面もあります。
愛情とは別の形で、子供を中心とした強い絆で結ばれた「家族」を築くことができるのです。
異性に対する安心感と信頼感
ストレート(異性愛者)の男性との関係において、どこかで「女性」として見られることに疲れや違和感を覚えてきた女性にとって、ゲイ男性の存在は特別な安心感を与えてくれます。
ゲイ男性は、女性の容姿や性的な魅力で判断することなく、一人の人間として内面を見てくれる傾向があります。
そのため、外見を気にしたり、異性として媚びたりする必要がなく、ありのままの自分でいられる心地よさを感じることができます。
最も身近な異性が、最も信頼できる親友であるという関係性は、従来の結婚観では得難い、新しい形の幸福と言えるのかもしれません。
ゲイ男性が女性との結婚を考える理由とは
「ゲイと結婚したい」と願う女性がいる一方で、なぜゲイの男性が女性との結婚を選択肢に入れるのでしょうか。
その背景には、個人の価値観だけでなく、社会的な状況や個人的な願いが複雑に絡み合っています。
恋愛感情を伴わないからこそ、結婚の動機はより現実的で、かつ切実なものが多いのが特徴です。
ここでは、ゲイ男性が女性との「友情結婚」や「協力婚」といった形を選ぶ、主な3つの理由を深く掘り下げていきます。
相手の動機を理解することは、後悔しないパートナーシップを築くための第一歩となるでしょう。
世間体や親からのプレッシャー
ゲイ男性が女性との結婚を考える最も大きな理由の一つが、周囲からのプレッシャー、特に親や親族からの期待に応えたいという思いです。
現代の日本社会においても、特に地方や特定のコミュニティでは「結婚して家庭を持つことが一人前」という価値観が根強く残っています。
親世代からは「早く結婚して身を固めてほしい」「孫の顔が見たい」といった直接的、あるいは間接的なプレッシャーを日常的に感じている男性は少なくありません。
親を心配させたくない、悲しませたくないという親孝行の気持ちから、自身のセクシャリティをカミングアウトせずに、社会的に「普通」とされる異性との結婚を選ぶのです。
また、職場や友人関係の中でも、結婚や子供の話題は頻繁にのぼります。
そうした場で疎外感を覚えたり、詮索されたりすることを避けるために、「偽装結婚」という形でカモフラージュしたいと考えるケースもあります。
これは、自身のセクシャリティを公にせず、プライベートな領域を守りながら社会生活を円滑に送るための、一種の防衛策ともいえるでしょう。
さらに、家業の跡継ぎ問題や財産相続などが絡む場合、法的な婚姻関係にある「妻」という存在が必要不可欠になることも、結婚への動機となり得ます。
これらの理由で結婚を望む男性は、パートナーとなる女性に対して、家族や社会に対して「良き妻」として振る舞ってくれる協力者としての役割を期待する傾向があります。
子供が欲しいという願い
自身のセクシャリティとは関係なく、「自分の子供を授かり、育てたい」という強い願いを持つゲイ男性も多く存在します。
親になるという夢を叶えるために、女性との結婚が最も現実的な選択肢だと考えるのです。
現状、日本において男性の同性カップルが子供を持つためのハードルは非常に高いと言わざるを得ません。
特別養子縁組制度は単身者でも利用可能ですが、夫婦が優先される傾向にあり、同性カップルでの共同親権は認められていません。
また、代理出産(サロガシー)は法整備が追いついておらず、倫理的な課題や高額な費用など、多くの困難が伴います。
こうした状況を踏まえ、法的に婚姻関係を結んだ女性との間に子供をもうけることが、確実かつ社会的な理解を得やすい方法だと判断するのです。
この場合、男性が求めるのは恋愛のパートナーではなく、共に子育てをする「共同養育者(コペアレント)」です。
お互いの価値観を尊重し、子供の最善の利益を第一に考え、協力して子育てという一大プロジェクトに取り組む仲間を求めています。
性的な関係を持たずに子供を授かるために、不妊治療(人工授精など)を視野に入れているカップルもいます。
子供を望むという共通の目的がある場合、二人の絆は非常に強固なものになる可能性がありますが、子育ての方針や教育に関する価値観のすり合わせは、結婚前に極めて重要となります。
経済的・生活的な安定を求めて
恋愛関係に伴う感情的な浮き沈みや束縛から解放され、純粋に生活のパートナーとして安定した暮らしを築きたいという理由も、ゲイ男性が女性との結婚を考える大きな動機です。
これは、経済的なメリットと生活面での協力体制という、二つの側面から考えることができます。
経済的な側面では、共働きによって世帯収入を増やし、より安定した生活基盤を築くことができます。
一人で支払うには負担の大きい家賃や光熱費も、二人で分担すれば一人当たりの負担は軽減されます。
将来の住宅購入や老後の資金形成など、長期的なライフプランを考えた際に、協力できるパートナーの存在は大きな安心材料となるでしょう。
また、病気や失業といった不測の事態に陥った際にも、お互いがセーフティネットとなり、支え合うことができます。
生活面では、日々の家事を分担することで、一人暮らしよりも時間や心に余裕が生まれます。
得意な方が料理をし、もう一方が掃除をするといったように、お互いの得意分野を活かして協力し合えば、生活の質(QOL)は格段に向上するでしょう。
恋愛感情がないからこそ、友人やルームメイトのような感覚で、お互いのプライバシーや価値観を尊重しながら、快適な共同生活を送ることを目的としています。
さらに、法律上の婚姻関係を結ぶことで、配偶者控除や扶養、社会保険、生命保険の受け取り、相続権など、法的に認められた様々な恩恵を受けられることも、現実的なメリットとして結婚を後押しする一因となっています。
ゲイと結婚する前に知っておくべきメリットとデメリット
「ゲイと結婚したい」。そう考えたとき、新しい家族の形への期待と同時に、未知の世界への不安も感じるのではないでしょうか。
恋愛感情を伴わない「友情結婚」は、従来の結婚観とは大きく異なります。
だからこそ、その選択がご自身にとって本当に幸せなものになるのか、冷静に見極めることが不可欠です。
ここでは、ゲイの男性と結婚生活を送る上での具体的なメリットと、目をそむけてはならないデメリットや注意点を詳しく解説します。
光と影の両面を深く理解し、後悔のない決断を下すための土台を築きましょう。
ゲイと結婚する5つのメリット
まず、ゲイの男性と結婚することで得られる、大きなメリットを5つの側面から見ていきましょう。
これらは、恋愛結婚特有の悩みから解放されたいと願う女性にとって、非常に魅力的に映るかもしれません。
対等で尊重し合えるパートナーシップ
ゲイとの結婚における最大の魅力の一つは、非常にフラットで対等なパートナーシップを築きやすい点にあります。
恋愛感情が介在しないため、嫉妬や束縛、過度な期待といった感情的なもつれが生じにくいのです。
お互いを「生活を共にするパートナー」「人生の協力者」として認識し、一人の人間として尊重し合う関係が基本となります。
夫だから、妻だからといった性別による役割分担のプレッシャーも少なく、お互いの得意なことやライフスタイルに合わせて、家事や育児などを柔軟に分担できます。
問題が発生した際も、感情的にぶつかり合うのではなく、「どうすればこの問題を解決できるか」という視点で、冷静かつ論理的な話し合いを進めやすいでしょう。
まるで信頼できるビジネスパートナーのように、お互いの意見を尊重しながら、家庭という共同体を運営していくことができるのです。
恋愛の悩みから解放される
「私のこと、本当に愛してくれているのかな」。「もしかしたら浮気されているかもしれない」。このような恋愛特有の不安やストレスは、心を大きく消耗させます。
ゲイとの友情結婚では、そもそも恋愛感情が前提にないため、こうした悩みから根本的に解放されます。
パートナーの愛情を常に確認する必要も、異性との交流に神経をとがらせる必要もありません。
これは、過去の恋愛で深く傷ついた経験を持つ方や、恋愛そのものに興味や関心がないアロマンティックの方、他者に対して恋愛感情を抱かない方にとって、計り知れないほどの精神的な平穏をもたらします。
自分の感情の波に振り回されることなく、穏やかで安定した日々を送れることは、人生の質を大きく向上させるメリットと言えるでしょう。
お互いのプライベートな時間を確保しやすい
恋愛結婚では、「休日は必ず一緒に過ごす」「相手の交友関係をすべて把握しておきたい」といった暗黙のルールや期待が、時に窮屈さを生むことがあります。
友情結婚の場合、お互いが独立した個人であることを尊重する意識が強いため、プライベートな時間を確保しやすい傾向にあります。
それぞれが自分の趣味に没頭する時間、友人と気兼ねなく出かける自由を、お互いに認め合うことができます。
もちろん、家族としての時間は大切にしますが、それ以外の時間は個人の裁量に委ねられることが多いのです。
過度な干渉がないため、結婚後も自分らしさを失わずに、仕事や自己実現に集中したいと考える自立した女性にとっては、非常に快適な関係性を築けるでしょう。
経済的な安定と協力体制
結婚による経済的なメリットは、友情結婚においても同様に享受できます。
むしろ、お互いが経済的に自立していることを前提とするケースが多いため、より強固な協力体制を築きやすいと言えるかもしれません。
二人分の収入を合わせることで、一人暮らしよりも質の高い住環境を確保したり、効率的に貯蓄を進めたりすることが可能になります。
家賃や光熱費といった固定費も二人で分担できるため、一人当たりの負担は軽減されます。
また、病気や怪我、失業といった不測の事態が起きた際にも、パートナーがいるという事実は大きな安心材料になります。
経済的なリスクを二人で分散し、将来のライフプラン(住宅購入や老後資金など)に向けて協力して資産形成を進めていけることは、人生の安定に直結する大きなメリットです。
性的な関係を求められない安心感
性的な関係を望まない、あるいは苦手意識を持つ女性にとって、これは何物にも代えがたいメリットです。
他者に対して性的な魅力を感じないアセクシュアル(無性愛)の方や、過去の経験から性的な接触にトラウマを抱えている方にとって、性行為を求められない環境は心の安全地帯そのものです。
恋愛結婚で起こりがちな「セックスレス」の問題で悩んだり、罪悪感を抱いたりする必要もありません。
結婚前に、身体的な接触(ハグやキスなど)をどこまで許容できるか、あるいは一切望まないのかを明確に話し合い、ルールとして決めることができます。
性的同意に関するストレスから完全に解放され、ただ純粋に「家族」や「同居人」として安心して暮らせる環境は、友情結婚が提供できる非常にユニークで価値あるメリットなのです。
ゲイと結婚する場合の注意点とデメリット
多くのメリットがある一方で、ゲイとの結婚には特有の難しさや乗り越えるべき課題が存在します。
これらのデメリットを事前に理解し、自分自身がそれを受け入れ、対処できるのかを真剣に考えることが、後悔しないための鍵となります。
周囲への説明の難しさ
友情結婚という形は、まだ社会的に広く認知されているとは言えません。
そのため、ご自身の親や兄弟、親しい友人など、大切な人たちに二人の関係性をどう説明するかは、非常に大きな課題となります。
特に、「結婚とは愛し合う男女がするもの」という価値観が根強い世代の親からは、理解を得られず、猛反対にあう可能性も考えられます。
「なぜ恋愛もしていないのに結婚するのか」「世間体が悪い」「偽装結婚ではないか」といった厳しい言葉を投げかけられるかもしれません。
どこまでの範囲の人に、どの程度の事実を伝えるのか(カミングアウトするのか)、二人で事前に入念なすり合わせが必要です。
「お互い恋愛感情はないけれど、人として尊敬し合える最高のパートナーだから」と正直に話すのか、それとも「恋愛の形は人それぞれ」といった表現で詳細は伏せておくのか。
どちらの選択にもメリットとデメリットがあり、嘘をつき続けることによる精神的な負担も考慮しなければなりません。
周囲からの無理解や偏見に、二人で手を取り合って立ち向かう覚悟が求められます。
愛情がないことへの孤独感
結婚当初はメリットと感じていた「恋愛感情のなさ」が、時として深い孤独感につながる可能性があります。
仕事で辛いことがあった日、体調を崩して心細い夜。そんな時に、パートナーからの愛情のこもった慰めや、肌のぬくもりを求める気持ちが芽生えるかもしれません。
しかし、友情結婚のパートナーにそれを期待することは、契約違反になってしまう可能性があります。
友人や同僚が語る「夫がサプライズで記念日を祝ってくれた」「喧嘩したけど、やっぱり彼のことが大好き」といった愛情あふれるエピソードを聞くたびに、自分の選択は正しかったのだろうかと、虚しさを感じる瞬間が訪れることも覚悟しておくべきです。
この「愛情の不在」という現実に、長年にわたって耐えられるのか。
パートナー以外に心の支えとなる友人関係やコミュニティ、没頭できる趣味など、孤独感を乗り越えるための自分なりのセーフティネットを築いておくことが非常に重要になります。
相手の恋愛への向き合い方
あなたが恋愛をしない一方で、ゲイである夫は男性のパートナー(彼氏)と恋愛関係を築く可能性があります。
これは友情結婚において、避けては通れない現実です。
結婚前に、「夫に彼氏ができた場合、どうするのか」を具体的に話し合っておく必要があります。
例えば、
- 彼氏の存在を妻に報告する義務はあるか。
- 彼氏を家に連れてきても良いか。
- 外泊のルールはどうするか。
- 家族のイベントに彼氏を同席させることはあるか。
など、決めておくべき項目は多岐にわたります。
頭では「お互いの恋愛は自由」と割り切っていても、夫が自分以外の誰かに愛情を注いでいる姿を目の当たりにした時、予期せぬ嫉妬や寂しさといった複雑な感情が湧き上がる可能性もゼロではありません。
また、逆にあなた自身が結婚後に誰かを好きになる可能性も考慮し、その場合のルールも決めておくことが、公平な関係を保つために必要です。
子供ができた場合の課題
もし二人の間で「子供が欲しい」という希望が一致した場合、さらに多くの課題と向き合うことになります。
まず、どのようにして子供を授かるかという現実的な問題があります。
タイミング法や人工授精(AID:非配偶者間人工授精)などの不妊治療を選択することになりますが、これには身体的、精神的、そして経済的な負担が伴います。
厚生労働省のウェブサイトでも不妊治療に関する様々な情報が提供されていますが、当事者にとっては簡単な道のりではありません。
(参考:厚生労働省 不妊治療と仕事の両立サポート)
そして、無事に子供が生まれた後には、「両親の関係性をどう説明するか」という非常にデリケートな問題が待っています。
「パパとママは愛し合って結婚したわけではない」「パパは男性が好き」という事実を、子供がどのタイミングで、どのように受け止めることができるのか。
学校などで「お前の家は普通じゃない」といじめの対象になるリスクも考えなければなりません。
愛情に基づかない両親の姿が、子供の情緒形成にどのような影響を与えるのかという懸念も、専門家の意見を聞きながら慎重に考える必要があります。
子育ての方針をめぐる意見の対立も、恋愛感情というクッションがない分、よりシビアな問題に発展しやすいという側面も持っています。
離婚のリスクと原因
「友情結婚は恋愛のもつれがないから離婚しにくい」と考えるのは早計です。
友情結婚であっても、離婚に至るケースは決して少なくありません。
その主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 契約・ルールの不履行:金銭管理、家事分担、お互いの恋愛に関するルールなど、最初に決めた約束事が守られなくなった時、信頼関係は崩壊します。
- 心境の変化:どちらか一方、あるいは双方が、結婚生活を送るうちに「やはり恋愛に基づいた結婚がしたい」と望むようになるケースです。
- 生活習慣の不一致:恋愛感情がないからこそ、相手の些細な生活習慣(清潔感、騒音、食の好みなど)が許容できなくなり、ストレスが限界に達することがあります。
- 孤独感の深刻化:前述の「愛情がないことへの孤独感」に耐えられなくなり、関係を解消したいと考えるようになります。
友情結婚は法律上、通常の婚姻と何ら変わりありません。
したがって、離婚する際には財産分与や、子供がいる場合は親権・養育費といった問題が、法律に則って処理されます。
こうした事態に備え、結婚前に「婚前契約書」を作成し、万が一離婚する場合の条件について合意しておくことが、お互いを守るために極めて重要となります。
ゲイの男性と出会うための具体的な方法
「ゲイの男性と結婚したい」という決意を固めても、次なる大きな壁は「どこで出会えばいいのか」という問題です。
一般的な婚活市場では、恋愛を前提とした出会いがほとんどのため、友情結婚を望むゲイの男性を見つけ出すのは決して簡単ではありません。
しかし、近年では友情結婚という新しいパートナーシップの形が認知されつつあり、それに特化した出会いの場も増えてきています。
ここでは、ゲイの男性と出会うための具体的な3つの方法を、それぞれのメリット・デメリットと合わせて詳しく解説します。
ご自身の性格やライフスタイル、結婚に求める優先順位に合わせて、最適な方法を見つけるための参考にしてください。
友情結婚専門の結婚相談所に登録する
最も確実で安全性の高い方法が、友情結婚を専門に扱う結婚相談所への登録です。
恋愛を前提としない結婚の形を理解し、同じ目的を持つ人だけが集まるプラットフォームであるため、ミスマッチが起こりにくく、効率的にパートナー探しを進めることができます。
一般的な結婚相談所とは異なり、セクシャリティや結婚観についてオープンに話し合える環境が整っているのが最大の強みです。
友情結婚相談所のメリット
専門の相談所を利用するメリットは多岐にわたります。
まず挙げられるのが、圧倒的な「安心感」です。
入会時には、独身証明書や収入証明書、身分証明書などの公的な書類の提出が義務付けられているため、相手の身元が保証されています。
既婚者であったり、経歴を偽っていたりする心配がなく、真剣に結婚を考えている人だけが集まっているため、安心して活動に専念できます。
また、専門知識を持つカウンセラーやコンシェルジュのサポートを受けられる点も大きな魅力です。
友情結婚特有の悩みや、お相手との条件交渉など、デリケートな問題についても的確なアドバイスをもらえます。
二人だけでは話し合いにくいお金のことや子供のこと、お互いの恋愛に関するルール決めなども、第三者が間に入ることでスムーズに進められるケースが多くあります。
友情結婚相談所の注意点とデメリット
一方で、デメリットも存在します。最も大きなハードルは費用面でしょう。
入会金、月会費、そして成婚時に支払う成婚料など、トータルで数十万円以上の費用がかかることが一般的です。
確実な出会いとサポートへの対価と考える必要がありますが、気軽に始められるものではないかもしれません。
また、大手恋愛結婚相談所に比べると、会員数は限られます。
特に地方在住の場合、希望するエリアの登録者が少なく、出会いの機会が限定されてしまう可能性も考慮しておく必要があります。
最近ではオンラインでの面談やお見合いに対応している相談所も増えているため、事前にサービス内容を確認することが重要です。
代表的な友情結婚相談所
日本国内で友情結婚を専門に扱う相談所として最も知名度が高いのが「友情結婚相談所カラーズ」です。
2015年の設立以来、多くの友情結婚カップルを誕生させてきた実績があり、メディアでも頻繁に取り上げられています。
ゲイやレズビアン、アセクシャルなど、様々なセクシャリティの方が登録しており、オンラインでの全国対応も行っているため、地方在住者でも利用しやすいのが特徴です。
このような専門の相談所は、安全性と確実性を最優先に考え、専門家のサポートを受けながら慎重にパートナーを探したい方に最適な選択肢と言えるでしょう。
ゲイと結婚したい人向けのアプリやサイトを活用する
結婚相談所よりも手軽に、そして費用を抑えてパートナー探しを始めたい方には、インターネット上のマッチングアプリや専門サイトの活用がおすすめです。
スマートフォン一つで登録でき、自分のペースで活動を進められるのが大きなメリットです。
ただし、その手軽さゆえに注意すべき点も多く、利用には慎重さが求められます。
アプリやサイトの種類と特徴
出会いのためのアプリやサイトは、大きく分けて3つのタイプがあります。
一つ目は、友情結婚や契約結婚を目的とした専門サイトです。
数はまだ少ないものの、目的が合致した人が集まるため、話が早く進みやすいという利点があります。
二つ目は、LGBTQ+コミュニティ向けのアプリやサイトです。
元々は恋愛や友だち作りを目的としたサービスが多いですが、ユーザー数が多いため、プロフィールに「友情結婚希望」と明記することで、同じ目的を持つ相手が見つかる可能性があります。
三つ目は、一般的な大手マッチングアプリを利用する方法です。
この場合、プロフィール欄に「恋愛感情なしのパートナーシップを求めています」「友情結婚を前提としたお付き合いを希望します」といった文言を明確に記載することが不可欠です。
恋愛目的のユーザーが大多数であるため、根気強い活動が必要になります。
アプリやサイトを利用するメリット
最大のメリットは、その「手軽さ」と「費用」です。
多くのサービスが無料または月額数千円程度で利用でき、結婚相談所に比べて経済的な負担が格段に少なくて済みます。
また、登録者数が多いため、相談所では出会えないような多様な職業やバックグラウンドを持つ人と出会える可能性も広がります。
時間や場所を選ばずに活動できるため、仕事が忙しい方や、自分のペースで進めたい方にも向いています。
アプリやサイト利用の注意点とリスク
手軽さの裏返しとして、最も注意すべきは「安全性」の問題です。
相談所と違って公的な身分証明が必須でないサービスも多く、プロフィールに書かれた情報が真実である保証はありません。
既婚者や、ビジネス・宗教への勧誘、詐欺などを目的とした悪質なユーザーが紛れ込んでいるリスクもゼロではありません。
また、結婚に対する真剣度も人それぞれです。
「まずは話を聞いてみたい」という軽い気持ちの人から、真剣にパートナーを探している人まで様々なので、相手の真意を慎重に見極める必要があります。
トラブルが発生した場合も、基本的には自己責任となるため、個人情報の交換は慎重に行い、実際に会う際は日中の人目のある場所を選ぶなど、自己防衛の意識を常に持つことが極めて重要です。
プロフィールを工夫し、メッセージのやり取りを丁寧に行いながら、自分で相手を見極める力と根気強さが求められる方法と言えるでしょう。
信頼できる友人や知人からの紹介
最も古典的な方法でありながら、安心感という点では非常に優れた方法が、信頼できる友人や知人からの紹介です。
あなたの人柄や価値観を理解してくれている人が間に入ることで、ミスマッチが起こりにくく、信頼できる相手と出会える可能性が高まります。
紹介による出会いのメリット
最大のメリットは、紹介者のフィルターを通すことによる「信頼性の高さ」です。
友人や知人が「この人なら」と判断して紹介してくれる相手であれば、人柄にある程度のお墨付きがあると考えてよいでしょう。
相手の仕事や性格、家族構成といった基本的な情報を事前に教えてもらえることも多く、安心して会うことができます。
また、共通の知人がいることで、万が一トラブルが起きた際にも相談しやすく、関係がこじれにくいという側面もあります。
相談所やアプリのように費用がかからない点も、大きなメリットです。
紹介による出会いのデメリットと難しさ
この方法の最大の難点は、そもそも「紹介してくれる友人・知人がいるかどうか」という点に尽きます。
友情結婚という特殊な形を理解し、かつ、それに合致する独身のゲイ男性を知っているという友人は、決して多くはないでしょう。
また、自分のセクシャリティや結婚観を友人にカミングアウトすることに、心理的なハードルを感じる方も少なくありません。
誰に、どこまで、どのように話すか、慎重に考える必要があります。
仮に紹介してもらえたとしても、もしお相手と合わなかった場合に断りづらく、紹介者との関係が気まずくなってしまうリスクも考えられます。
出会いの機会そのものが非常に限定的で、受け身にならざるを得ない点もデメリットと言えるでしょう。
友人に相談する際のポイント
もし友人に相談してみようと考えるなら、相手選びが非常に重要です。
日頃から信頼でき、口が堅く、あなたの考えを尊重してくれる友人を選びましょう。
相談する際は、なぜ自分が友情結婚をしたいのか、その背景にある想いや価値観を丁寧に伝えることが大切です。
「実はこういう結婚の形を考えていて…」と真摯に話すことで、相手もあなたのことを理解し、真剣に協力しようと考えてくれるかもしれません。
その上で、「もし周りに同じような価値観を持つ人がいたら、思い出してくれると嬉しいな」というように、プレッシャーを与えない形でお願いするのが良いでしょう。
この方法は、運や縁に左右される部分が大きいですが、もし実現すれば、非常に温かく安心できる出会いに繋がる可能性を秘めています。
後悔しないために結婚前に必ず確認すべきこと
ゲイの男性との友情結婚は、恋愛感情をベースにしない、新しいパートナーシップの形です。
だからこそ、お互いの価値観やライフプランを事前にすり合わせ、明確なルールを決めておくことが、後悔しないための最も重要なステップとなります。
恋愛結婚であれば「好き」という感情が緩衝材となり、曖昧な部分も乗り越えられるかもしれません。
しかし、友情結婚は信頼と契約に基づいた関係性です。
「言わなくてもわかるだろう」「きっとこうしてくれるはず」といった期待は、すれ違いやトラブルの元になります。
結婚という法的な契約を結ぶ前に、共同生活を送る一人の人間として、お互いが快適で尊重し合える関係を築くための土台作りを徹底しましょう。
ここでは、結婚してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、必ず確認しておくべき重要事項を具体的に解説します。
二人で話し合うべき重要事項リスト
結婚は生活そのものです。ささいなことから人生に関わる大きな決断まで、二人で向き合い、納得のいく答えを見つけていく必要があります。
以下のリストを参考に、一つひとつ丁寧に話し合い、お互いの考えを深く理解しましょう。
話し合った内容は、後述する婚前契約書に盛り込むことで、より確かなものになります。
お金の管理方法と生活費の分担
生活の基盤となるお金の問題は、最もシビアで、かつ最初にクリアにしておくべきテーマです。
友情結婚では、お互いが経済的に自立しているケースが多いため、それぞれの収入や資産をどう管理し、生活費をどう分担するのか、明確なルール作りが不可欠です。
以下の点を具体的に話し合いましょう。
- 財布の管理方法:共有の口座を作ってそこから生活費を支払うのか、完全に別財布にするのか、あるいは項目ごとに支払う担当を決めるのかなど、具体的な管理方法を決めます。共有口座を作る場合は、毎月いくらずつ入金するのかも話し合います。
- 生活費の分担割合:家賃、光熱費、食費、通信費、日用品費などの固定費・変動費をリストアップし、分担割合を決めます。完全に折半にするのか、収入に応じて傾斜をつけるのか、お互いが納得できる形を見つけましょう。
- 貯金や投資の方針:個人の貯金とは別に、二人としての将来の目標(住宅購入、子供の教育費、老後資金など)に向けた共同貯金をするのかを決めます。その場合、目標額や毎月の積立額も設定しましょう。
- 大きな買い物のルール:家具や家電、車といった高額な買い物をする際の相談ルールや、どちらが費用を負担するのかを決めておくと、後々のトラブルを防げます。
- お互いの収入と負債の開示:信頼関係の構築のため、お互いの収入、貯金額、そして借金や奨学金の有無と残高を正直に開示し合うことが望ましいです。特に負債については、将来のライフプランに大きく影響するため、必ず確認が必要です。
家事の分担ルール
日々の生活の質に直結するのが家事の分担です。
「気づいた方がやる」という曖昧なルールは、どちらか一方に負担が偏る原因になりがちです。
お互いが気持ちよく暮らすために、公平で具体的な分担方法を決めましょう。
- 家事のリストアップ:料理、後片付け、掃除(部屋ごと)、洗濯、ゴミ出し、買い物、日用品の補充など、家庭内で発生する家事をすべて洗い出します。名前のない「名もなき家事」も忘れずにリストアップしましょう。
- 分担方法の決定:リストアップした家事を、得意・不得意や生活リズム(勤務時間など)を考慮して分担します。当番制にする、曜日で分ける、家事ごとに担当を決めるなど、自分たちのスタイルに合った方法を見つけましょう。家事分担アプリや共有カレンダーを活用するのもおすすめです。
- 家事のクオリティのすり合わせ:「掃除」一つとっても、求めるレベルは人それぞれです。どの程度の仕上がりを「完了」とするのか、お互いの基準をすり合わせておくと、「やってくれたけど、やり方が気に入らない」といった不満を減らせます。
- 外部サービス(家事代行など)の利用:共働きで忙しい場合など、家事の負担を軽減するために家事代行サービスや宅配サービスを利用するかどうか、利用する場合の費用負担についても話し合っておくと良いでしょう。
お互いのセクシャリティと恋愛に関する取り決め
友情結婚において、最もデリケートで重要なのが、お互いのプライベート、特にセクシャリティと恋愛に関するルールです。
ここは徹底的に話し合い、お互いを尊重するための明確な境界線を引く必要があります。
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- セクシャリティの再確認:お互いの性的指向(ゲイ、アセクシャル、その他)や、恋愛・性愛に対する価値観を改めて言葉で確認し合います。
- 外部のパートナーの有無と今後の関係:現在、特定のパートナーがいるのか、今後パートナーを作ることを望むのかを確認します。パートナーの存在をどこまでお互いに開示するのか、家に連れてくる際のルール(事前連絡の要否、宿泊の可否など)、生活費とは別の交際費は各自で負担することなどを具体的に決めます。
- 性的な関係について:子供を望む場合を除き、夫婦間での性的な関係は一切持たないことを明確に合意します。これは友情結婚の根幹に関わる重要な確認事項です。
- 情報開示の範囲:お互いの恋愛状況について、どこまで共有したいか(または、したくないか)の線引きをします。「パートナーができた時だけ報告する」「詳細は話さない」など、お互いが心地よい距離感を探ります。
- 嫉妬や独占欲への対処:友情結婚であっても、相手にパートナーができた際に、寂しさや複雑な感情が生まれる可能性はゼロではありません。そうした感情が芽生えた時に、どうコミュニケーションを取るかについても話し合っておくと、いざという時に冷静に対処できます。
子供を望むか望まないか
子供を持つかどうかは、人生を大きく左右する決断です。
友情結婚において子供を望む場合は、恋愛結婚以上に詳細な計画と合意形成が求められます。
- 子供を望むかどうかの意思確認:まず、お互いが子供を望むのか、望まないのか、根本的な意思を明確にします。もし意見が異なる場合は、結婚そのものを見直す必要があるかもしれません。
- 望む場合の計画:いつ頃、何人欲しいのか、具体的な時期や人数を話し合います。
- 子供の作り方:シリンジ法や不妊治療(体外受精など)といった具体的な方法を検討します。それぞれのメリット・デメリット、費用、身体的・精神的負担についてもしっかりと情報収集し、どの方法を選択するのか合意します。不妊治療を行う場合は、どこまで治療を続けるのか、ゴール設定も重要です。
- 育児の分担:産休・育休の取得計画、日々の育児(オムツ替え、寝かしつけ、送迎など)の分担、病気の際の対応など、具体的な育児の役割分担を決めます。
- 教育方針:どのような子に育ってほしいか、教育に関する価値観を共有します。公立か私立か、習い事、進学に関する考え方など、長期的な視点で話し合いましょう。
- 子供へのカミングアウト:自分たちの結婚が友情結婚であること、父親がゲイであることを、いつ、どのように子供に伝えるのか。これは非常に重要なテーマです。専門家の意見も参考にしながら、二人で方針を決めておく必要があります。
親族や友人との付き合い方
結婚は二人だけの問題ではなく、お互いの家族や友人関係も関わってきます。
特に友情結婚の場合、周囲にどこまで真実を話すのか(カミングアウトするのか)は、大きな課題となります。
- カミングアウトの範囲と内容:お互いの両親、兄弟、親しい友人に、どの範囲まで、どのようにカミングアウトするのかを決めます。「友情結婚である」と正直に伝えるのか、「恋愛結婚として振る舞う」のか、方針を統一しておく必要があります。相手の意向を無視して、勝手にカミングアウトすることは絶対に避けなければなりません。
- 親族付き合いのルール:年末年始やお盆の帰省、冠婚葬祭への出席、親の介護問題など、親族との付き合い方についてルールを決めます。どの程度の頻度で会うのか、二人で参加するのか、片方だけで良いのかなど、お互いの負担にならない範囲を相談しましょう。
- 友人関係への関わり方:お互いの友人を紹介し合うのか、プライベートな友人関係には干渉しないのかなど、友人付き合いのスタンスも確認しておくとスムーズです。
婚前契約書(結婚契約書)の作成を検討する
上記で話し合った数々の取り決めを、単なる口約束で終わらせないために強く推奨されるのが「婚前契約書(結婚契約書)」の作成です。
婚前契約書とは、結婚する二人が、結婚生活におけるルールや、万が一離婚する際の条件などを事前に取り決めておく契約書のことです。
特に、恋愛感情ではなく、お互いの合意と契約に基づいて成立する友情結婚においては、この婚前契約書が関係性を守るための羅針盤となり、不要なトラブルを未然に防ぐための強力なツールとなります。
契約書を作成する過程で、お互いの価値観をより深く理解できるというメリットもあります。
記載する内容に法的な決まりはありませんが、一般的には以下のような項目を盛り込みます。
- 財産の管理・分担に関する事項:結婚前の各自の財産(特有財産)の確認、結婚後の共有財産の管理方法、生活費の分担など。
- 家事の分担に関する事項:具体的な家事の役割分担。
- お互いの恋愛やプライベートに関する事項:外部パートナーとの関係性についてのルール、プライバシーの尊重など。
- 子供に関する事項:子供を望むか否か、望む場合の妊活方法や養育方針、教育方針など。
- 親族・友人との付き合いに関する事項:カミングアウトの範囲や、親族付き合いのルール。
- 離婚に関する事項:離婚に至る場合の条件(例:どちらかがルールに違反した場合など)、財産分与の方法、子供がいる場合の親権や養育費の取り決めなど。
婚前契約書は自分たちで作成することも可能ですが、法的な有効性を確実なものにするためには、行政書士や弁護士などの専門家に相談し、作成を依頼することをおすすめします。
さらに、作成した契約書を公証役場で「公正証書」にしておくことで、高い証明力と、金銭の支払いなどに関する約束については裁判所の判決を待たずに強制執行できる力(執行力)を持たせることができます。
公正証書に関する詳しい情報は、日本公証人連合会のウェブサイトで確認できます。
日本公証人連合会 公式サイト「公正証書」「契約書」と聞くと堅苦しく感じるかもしれませんが、これはお互いを縛るものではなく、お互いが築きたいと願う快適で尊重し合えるパートナーシップを、長期にわたって守るための「お守り」なのです。
「ゲイと結婚したい」に関するよくある質問
ゲイ男性との友情結婚を具体的に考え始めると、これまで想像もしなかったような疑問や不安が次々と湧き上がってくるものです。
ここでは、多くの方が抱く代表的な質問に対して、具体的かつ現実的な視点から詳しくお答えしていきます。
結婚という大きな決断を前に、心のモヤモヤを解消し、安心して次の一歩を踏み出すための参考にしてください。
カミングアウトはどこまですべき?
友情結婚において、周囲へのカミングアウトは最もデリケートで重要な問題の一つです。
誰に、どこまで、どのように伝えるかという問いに唯一の正解はなく、お二人の価値観や状況によって最適な答えは異なります。
最も大切なのは、必ず結婚相手の男性と二人で徹底的に話し合い、方針を一致させておくことです。
一方の判断で行動すると、後々大きなトラブルに発展しかねません。
伝える相手別に、考えられる選択肢と注意点を整理してみましょう。
親や親族への伝え方
親や親族は、最も説明が難しく、かつ理解を得たいと願う相手かもしれません。
考えられる選択肢は、大きく分けて3つあります。
一つ目は、セクシャリティも含めて正直に全てを話す方法です。
この場合、深い理解を得られる可能性がある一方で、偏見から猛反対されたり、関係性が悪化したりするリスクも伴います。
二つ目は、「恋愛感情はないけれど、人として深く尊敬し合える最高のパートナー」というように、セクシャリティには触れずに関係性を説明する方法です。
これは、嘘をつく罪悪感を減らしつつ、親を過度に心配させないための一つの落としどころと言えるでしょう。
三つ目は、何も伝えず、ごく一般的な恋愛結婚として振る舞う方法です。
最も波風が立ちにくい選択ですが、「なぜ孫の顔を見せてくれないのか」「夫婦仲は大丈夫なのか」といった将来的なプレッシャーや、嘘をつき続けることへの精神的な負担が生じる可能性があります。
どの方法を選ぶにせよ、お互いの親の性格や価値観を考慮し、シミュレーションを重ねておくことが重要です。
友人や職場への伝え方
伝える相手との関係性の深さによって、対応を分けるのが一般的です。
心から信頼できる親友には、正直に打ち明けることで、心強い理解者や協力者になってもらえる可能性があります。
ただし、善意からであっても他人に話してしまう「アウティング」のリスクは常にあるため、口外しないよう固く約束してもらう必要があります。
職場やご近所、それほど親しくない知人に対しては、プライベートな関係性を詳細に話す必要は全くありません。
「結婚しました」という事実だけを伝え、ごく普通の夫婦として振る舞うのが最も現実的でトラブルも少ないでしょう。
友情結婚という形を選んだからといって、全てを公にする義務はないということを覚えておいてください。
お二人が心地よくいられる範囲で、自分たちのペースで人間関係を築いていくことが何よりも大切です。
戸籍や法律上の扱いはどうなる?
「友情結婚は、法律上どのように扱われるのだろうか」という疑問は、多くの方が抱く不安の一つです。
結論から言うと、ゲイ男性との友情結婚は、法律上、恋愛結婚と全く同じ扱いです。
結婚に至る動機が恋愛感情であるかどうかにかかわらず、市区町村の役所に婚姻届を提出し、受理されれば、法的に正式な夫婦として認められます。
戸籍にも「友情結婚」といった特殊な記載がされることは一切なく、通常の婚姻と同様に記録されます。
これにより、法律上の夫婦として様々な権利と義務が発生します。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 相続権:配偶者として、法律で定められた相続権が発生します。
- 税金の配偶者控除・配偶者特別控除:所得などの条件を満たせば、税制上の優遇措置を受けられます。
- 社会保険の扶養:収入などの条件を満たせば、相手の健康保険や厚生年金の被扶養者になることができます。
- 医療における同意権:パートナーが手術を受ける際など、配偶者として医療行為への同意を行うことができます。
- 貞操義務:法律上の夫婦であるため、互いに貞操義務を負います。ただし、友情結婚の場合は、お互いの恋愛の自由をどこまで認めるか、事前に合意しておくことが極めて重要です。
重要なのは、法的に「夫婦」であるため、関係を解消する場合も法的な「離婚」手続きが必要になるという点です。
「友達に戻ろう」という口約束だけでは関係は解消されません。
協議離婚、調停離婚、裁判離婚といった、通常の離婚と同じプロセスを経る必要があります。
だからこそ、財産分与や万が一の離婚時の条件などを定めた婚前契約書を作成しておくことが、お互いを守るために非常に有効な手段となるのです。
法律上の扱いは恋愛結婚と同じであるという事実を正しく理解し、その上で二人だけの特別なルールを構築していくことが、友情結婚を成功させる鍵となります。
相手の男性パートナーとの関係性は?
結婚相手であるゲイ男性に、恋愛対象となる男性のパートナーがいる、あるいは将来的にできる可能性は十分に考えられます。
そのパートナーと自分自身がどのように関わっていくのかは、友情結婚生活の快適さを左右する非常に重要な問題です。
この点についても、結婚前に必ずお二人で具体的なルールを話し合い、合意しておく必要があります。
感情的なトラブルを避け、お互いが心地よく過ごすための取り決めを明確にしましょう。
関係性のパターンとルールの設定
相手のパートナーとの関わり方には、いくつかのパターンが考えられます。
一つは、お互いのプライバシーを最大限尊重し、「存在は認識するが、会ったり交流したりはしない」という完全分離の形です。
これは、余計な感情の波風を立てずに済む、最もシンプルな方法と言えるかもしれません。
もう一つは、「友人として良好な関係を築く」という形です。
ホームパーティーに招いたり、一緒に食事をしたりと、家族ぐるみのような付き合いを目指すパターンです。
お互いの理解が深まるというメリットがありますが、一方で、嫉妬や疎外感といった複雑な感情が生まれやすい可能性も考慮する必要があります。
どちらの形を目指すにせよ、以下のような具体的なルールを決めておくと安心です。
- 自宅への出入り:相手のパートナーを家に呼んでも良いか。呼ぶ場合は、事前の連絡は必要か。宿泊は許可するか。
- 生活空間のルール:もし家に呼ぶ場合、立ち入って良い範囲(リビングのみ、など)を決めておくか。
- 金銭的な関係:夫が彼のパートナーに対して金銭的な援助をすることについてどう考えるか。家計から出すのか、個人のお小遣いの範囲内か。
- 公の場での振る舞い:共通の友人などと会う際に、彼のパートナーをどのように紹介し、どう振る舞うか。
自分の感情との向き合い方
友情結婚は恋愛ではないと頭で理解していても、夫が自分以外の誰かと親密な時間を過ごしていることに対し、寂しさや嫉妬に似た感情を抱く可能性はゼロではありません。
それは決して不自然なことではありません。
大切なのは、そうした自分の感情を否定せず、「自分は今、こう感じているんだな」と客観的に受け止めることです。
そして、ネガティブな感情を一人で抱え込まず、結婚相手の男性に冷静に伝えられる関係性を築いておくことが不可欠です。
「彼のパートナーの存在が気にならないか」と自分自身の心に問いかけ、もし少しでも不安があるなら、その気持ちを正直に相手に伝えてみましょう。
お互いの感情を尊重し、問題が起きたときには冷静に話し合って解決策を探るという共通認識を持つことが、長期的に安定したパートナーシップを維持する秘訣です。
まとめ
「ゲイと結婚したい」と考える背景には、恋愛に依存しない「友情結婚」という新しい関係性への期待があります。
この結婚は、対等なパートナーシップを築けるメリットがある一方、周囲への説明の難しさや孤独感といった課題も存在します。
後悔しないための最も重要な秘訣は、結婚前に金銭面や子供の有無、互いの恋愛観などについて徹底的に話し合い、明確なルールを決めておくことです。
十分な対話と相互理解があれば、ゲイの男性は人生を尊重し合える最高のパートナーになり得るでしょう。